コンサル出身を中途採用しても使えない本当の理由

コンサル出身だから優秀だろうと思って、中途で採用したら全く使えなかった、という経験があるかもしれません。

実はこれ、コンサル出身だから使えないのではありません。転職市場に出てくるコンサル出身者が使えないのです。

なぜこのようなことになるのでしょうか?

大手の戦略コンサルティングファームと中小の経営コンサルティング会社、それぞれの事情を踏まえながら、分かりやすく説明します。

超優秀なコンサル出身者は事業会社に転職しない

そもそもの大前提として、超優秀で仕事もできるコンサルタントは事業会社に転職しません。

なぜなら自分でビジネスを始めてしまうか、出世するからです。

超優秀な人は自分のビジネスを始める

日本で最も優秀なコンサルタントといえば、元マッキンゼーの大前研一さんだと思います。

マッキンゼーの本社があるアメリカをはじめ、世界中でその実力を認められ、マレーシアのマハティール首相のアドバイザーにまでなっています。

大前さんの優秀さを確認するのは簡単です。過去に出版した書籍を読めば、そこに書かれた将来予測がかなり当たっていることが分かります。

福島第一原発のメルトダウンを早い時期から指摘していたのも大前さんくらいです。事後諸葛亮(※1)だらけのコンサル業界ではかなり稀有な存在です。

大前さんはマッキンゼーを辞めた後に、事業会社に転職するようなことはありませんでした。自分のビジネスを始めたからです。

女性初の球団オーナーとなった横浜DeNAベイスターズの南場智子さんも、マッキンゼーを辞めて、事業会社に行くことなく株式会社ディー・エヌ・エーを創業しています。

大前さんや、南場さんほど目立っていなくとも、自分でビジネスを始めて成功しているコンサル出身者はたくさんいます。

超優秀な人は、様々な企業のビジネスを見て、「自分でやれる」と思うのでわざわざ他人の会社に行かないのです。

※1【事後諸葛亮】
結果が分かった後で「こうしていれば良かったのに」「自分は前から分かってた」とドヤ顔で結果論を言う人のこと。

超優秀な人は出世する

超優秀なコンサルタントが事業会社に転職しない理由は、もう一つあります。

それは出世するからです。

コンサルティングファームには「アップ・オア・アウト(Up or Out)」という文化があります。つまり「昇進するか去るか」ということです。

今はこの文化も弱まっているとは言われていますが、それでも一定期間内に昇進できない人は居づらくなりますし、超優秀な人はどんどん出世していきます。

コンサルティングファームの上級職の給料は、事業会社よりもかなり良いですから、超優秀な人が転職するメリットがないのです。

コンサル出身が「使えない」ように見える理由

転職市場に出てくるコンサル出身者が無能ということではありません。優秀な人もいます。パートナーとして場数を踏んできた人は優秀でしょう。

しかし、その優秀な人が使えないケースがあるのです。これは本人が無能だからというより、職務とのミスマッチが起こっていることが原因です。

コンサル出身が使えないというとき、「戦略を考えるだけで実行力がない」と言われたりします。

しかし、この批判を元マッキンゼーや元ボストンコンサルティングの人に言うのは、お門違いです。

なぜなら、これらの戦略系のコンサルティングファームは、経営戦略を作るのが仕事だからです。

どの市場で、どの事業を、どう行うのか等の上流の戦略を決めるのが仕事であって、現場の課題をどう改善するかという下流は領域違いなのです。

ですから、経営戦略の策定に携わってきたことをPRして転職してきた元コンサルに、現場を任せても使えなく見えるのは当然です。

担当させる仕事を間違っているのですから。

若手の元コンサルは仕事ができない可能性が高い

先ほども触れましたが、コンサルティングファームは「アップ・オア・アウト」です。

そのため、数年で辞めてしまった若手が使えないのは仕方のないことです。

入社して最初の数年は先輩のアシスタントとして、情報収集や資料作成をメインにしますから、自分の裁量で経営戦略を立てることなどありません。

このタイミングで辞めてしまえば、コンサルタントとしての能力が高いわけでもないですし、事業会社の同世代と同程度の実務能力があるわけでもありません。

ですから勉強はできるかもしれませんが、仕事ができない可能性は高いといえます。

余談ですがこれと同様のことは弁護士業界でも起こるそうです。

四大法律事務所と呼ばれる弁護士が何百人もいて、M&Aなどの企業法務を扱う渉外事務所はエリートが入所するところですから、そこ出身の弁護士は優秀と思われるかもしれません。

しかし、チームで仕事をしますから、若手は補助的な仕事となります。このような事務所を数年で辞めると、実務が身についていないため、離婚問題等の個人の案件を扱っているような事務所に行っても使えないのです。

中小のコンサルティング会社出身者が使えない理由

ここまで説明してきたのは、大手のいわゆる戦略系コンサルティングファームと呼ばれるところの出身者についてです。

ここからは、中小のコンサルティング会社の出身者が使えない理由について説明します。

中小企業向けのコンサルティングは独立しやすい

基本的な理由はさきほどと同じです。優秀なら自分で起業するか、出世するからです。

特に中小企業向けのコンサルティングは独立しやすいです。先ほどの弁護士のたとえでいえば、個人の離婚案件のような、1人でも手掛けられる案件が多いからです。

また、優秀なコンサルタントでも中小から、一流の事業会社への転職は難しいです。となると中途半端な事業会社に行くしかなくなりますが、優秀な人間ならそこにいくより、自分でやったほうが収入もやりがいも得られますから、中小企業の転職市場に優秀なコンサル出身者は出てこないのです。

もちろん、中小でもまともなコンサルティング会社は出世すれば、それなりの給料は貰えます。これも優秀なコンサルタントが流出しない要因です。

一番の理由は自称コンサルティング会社だらけだから

最後に多くの人が「コンサル出身は使えない」と思う一番の理由を書いておきたいと思います。

それは世の中のコンサルティング会社のほとんどが、自称コンサルティング会社だからです。

騙されやすい中小企業のオーナー社長を見つけて、コンサルっぽいことをしているだけなのです。

私もクライアントが過去に依頼していたコンサルティング会社の提案書を見る機会が多いのですが、大学生のレポートでも却下されるレベルのものしか見たことがありません。

ちなみにコンサルティング会社の資料は、フレームワークが載っていると思われがちですが、そのまま載っていることなどありません。考え方の参考に使うことはありますが、顧客に出す資料に「3C分析では~」などと書くことはないのです。

しかし、中小企業向けの自称コンサルティング会社の資料は、そのまま載っていたりします。しかも使い方を間違っていることもあります。ネットや本で見たものをそのまま真似しているからこうなってしまうのでしょう。

構成比率を考えれば、多くの会社に転職してくるコンサル出身はほとんどが、こうした自称コンサルティング会社の出身です。

コンサルティング能力においても、実務能力においても、コツコツと真面目に働いてきた事業会社の社員に負けているのです。

コンサル出身が使えないのは当たり前なのです。

ちなみにあなたがコンサル業界志望の学生であれば、名の通った本物のコンサルティング会社だけを狙いましょう。

そこに入れなければ諦めて、まともな事業会社に行くことをおすすめします。