新入社員の頭がおかしい理由。脳科学では答えが出てる

「最近の若者は~」という言葉は、少なくとも5,000年前の古代エジプト時代から言われていたそうです。

世代が違えば価値観も違いますから、お互いに理解できないのは当然のことです。

「そんなことは分かっているけれど、それでも最近の新入社員は頭がおかしい子が多くないか?」と思っている人もいるでしょう。

実際に私がコンサルティングに入る会社でも、おかしな新入社員が増えている印象はあります。

説明した直後からまったく違うことをする、簡単なことも判断できない、わからないのに「わかりました」と言う、少し注意しただけで泣く、それなのに自己評価は高い…

こういった事例は、決して珍しいものではありません。なぜ、こんなにも頭のおかしい言動をするのでしょうか?

その理由は、脳科学で説明することができます。

原因はスマホにあるのです。

新入社員に限らず皆が持っているでしょ?と疑問に思うかもしれません。

確かにその通りですが、何歳からスマホに触れていたかが問題なのです。

20歳までにどんな刺激を受けたかが脳に大きく影響する

人間の脳は、20歳頃までにおおよそ完成されます。(細かい微調整は30歳頃まで続きます)

6歳頃には、大人とほぼ同じサイズの脳になりますが、そこからもネットワークの構築はなされます。

必要な神経細胞同士のつながりを強化し、使わないつながりや細胞を減らすという効率化を20歳頃まで行うのです。

つまり、生まれてからの20年間で、どんな体験をして、どんな刺激を脳に与えたかが、成人後の頭の働き方に強く影響するのです。

そして、この時期にスマホを何時間も使っていると、頭がおかしくなるのです。

新入社員の頭がおかしい理由

スマホが脳に悪影響を及ぼすことは、数えきれないほどの研究で明らかになっています。

具体的にどんなことが起こるのか、簡単に説明しておきます。

ここを読めばなぜ、新入社員の頭がおかしい理由か簡単に理解できます。

1. 頭が悪くなる

シンシナティ小児病院医療センターのジョン・S・ハットン博士らが、子供の脳画像を検査した実験があります。

この実験によると、スマホ等の電子デバイスを頻繁に使う子供ほど、脳の認知機能に関わる領域のネットワークが弱いことが分かりました。

また、実際のテストにおいても、読み書き、言語化、視覚認識、語彙、記憶からの検索、注意、処理速度などのスコアが低いことも分かっています。

つまり、スマホを使うとバカになるということです。

2. すぐに落ち込みやすくなる

新入社員を軽く注意しただけで、落ち込んだり、会社に来なくなったという経験をしたことがあるかもしれません。

これもスマホが影響している可能性があります。

カリフォルニア大学サンフランシスコ校のオルガ・ティモフィエワ准教授らが、思春期の子供を対象に行った研究では、スマホの利用時間が長いほど、睡眠に問題を抱えており、抑うつ傾向を持ちやすいことも分かっています。

年齢に関係なく、スマホへの依存傾向が落ち込みやすさやメンタル不調に関連することは、様々な研究から分かっています。

3. 自分は特別な存在と勘違いする

「自分は特別な存在」という勘違いをしている新入社員もいます。この原因の一つは、少子化の影響で親や祖父母から大事にされた若者が増えたことが要因でしょう。

それ以外に、SNSの影響も大きいと考えられます。一般にSNSで美人やイケメンを見ると、自分と比較してしまい落ち込みやすいです。

しかし、自撮りを投稿するようなタイプでは、逆方向への心理(=自分は凄い)が強まります。

スウォンジー大学のフィル・リード教授らの実験によれば、SNSへの自撮り投稿を4カ月行った学生は、ナルシシズム傾向(自己愛的な特性)が25%も増加することが分かりました。

つまり、InstagramなどのSNSは謙虚な人をより謙虚にし、ナルシストをよりナルシストにするということです。

また、SNSで有名人や起業家に簡単にメッセージを送ったり、絡めたりするようになったことで、自分までその立場になったような勘違いが起こりやすいことも、自分を特別な存在と思ってしまう原因です。

4. 自分は優秀と勘違いする

何の実績もないのに、「自分は優秀だ」と勘違いしている新入社員もいます。これには、何でもネットやAIで調べられるようになったことが影響しています。

テキサス大学オースティン校のエイドリアン・ウォード准教授の実験によると、インターネット検索で調べた内容は、「元から自分の頭に入っていた情報だ」と錯覚しやすいことが分かっています。

紙の辞書で調べた場合には、この錯覚は生じません。

このような現象が起こる理由は、インターネット検索は一瞬で答えが見つかるため、「今自分は分からないことを調べている」と認識する時間が、ほぼゼロだからです。

この認識をする時間がないと、外部から得た知識か、元から自分が持っていた知識かが曖昧になるのです。

つまり、ネットで調べた知識さえ、自分の能力という思い込みを持ちやすいため、自分は優秀だと勘違いしてしまうということです。

なぜスマホだけが脳に強力な悪影響を及ぼすのか?

ここまでの説明を読んで、昔から携帯やパソコンでネットを使えたのだから、今の新入社員の頭だけがおかしいはずないのでは?と思うかもしれません。

確かに、スマホに限らずネットへの依存は、脳に悪影響を及ぼします。毎日ネットを見ている小学生は中学生になっても、脳の灰白質の体積が増えていなかったという研究もあります。

しかし、携帯やパソコンと比べ、スマホは特に悪影響が強いのです。

なぜなら、あらゆる機能がついている上に手軽なため、生活と密接に関わり続けるからです。通知機能のように、常に意識を向けさせる仕組みも実装されています。

また、ショート動画やSNSといったコンテンツは、ユーザーを受身の姿勢(頭を使わない状態)にしますから、より認知機能を低下させるのです。

ちなみに、「ゲームばかりやっていたけど東大に合格しました」という学生が結構いますが、ゲームは受身ではなく、主体的な判断の機会があるため、悪影響が少ないからです。それどころかゲームの種類によっては、立体空間を認識する能力が高まるという研究さえあります。

さらにスマホコンテンツの多くは、永遠にスクロール可能ですから、辞め時が分からず依存しやすい特徴もあります。

もちろん、これらの悪影響は脳が完成している成人後の人間にも悪影響を及ぼします。

しかし、脳のネットワークを構築している真っ最中の子供の時期にスマホに触れてしまうことは、それとは比べものにならないほど悪影響を及ぼすのです。

これが最近の新入社員の頭がおかしい理由です。

ジョブズは自分の子供にiPhoneを使わせなかった

もちろん、全ての新入社員の頭がおかしいわけではありません。トップ層だけを比べるなら、若い世代のほうが優秀な可能性が高いです。

生まれ持ったスペックが高ければ、スマホの悪影響を受けないこともあるでしょう。

親が厳格に管理していたことで、助かった人もいるでしょう。

ちなみに、スマホやそのコンテンツを作っているシリコンバレーのIT技術者や経営者が、自分の子供のスマホ利用を厳しく制限しているのは有名な話です。

アップル創業者のスティーブ・ジョブズも、自分の子供にはiPhoneを使わせませんでした。

販売している側は、その悪影響をよく知っているということです。

逆にこの悪影響を本人や周りの大人が知らなければ、頭がおかしくなってしまう可能性が高いのです。

たかがスマホにそんな影響があるわけないでしょ、と思っている人は注意してください。

新入社員の頭がおかしいからと諦める必要はない

あなたの会社の新入社員の頭がおかしいからと、諦める必要はありません。

スマホのせいで、頭が悪くなったり、落ち込みやすくなったり、自己愛が肥大していても、改善の余地はあります。

人間の脳には可塑性がありますから、たとえ何歳であっても、変化することは可能なのです。

そのためにどうすれば良いかというと、まずはスマホの悪影響を知ってもらうことです。

それを認識したら、使う時間を減らそうという動機が生まれます。

設定した時間までフタが開かないタイムロッキングコンテナなども、売っていますから、そういったものを活用することもできます。

また、運動したり、自然の中を散歩することによって、脳の改善に役立つことが様々な研究から分かっています。

スマホ脳から抜け出す方法は色々とありますから、会社全体で取り組んでみると良いかもしれません。

会社のためではなく、本人のためであるということを、さり気なく伝え、行動を促しましょう。

参考文献
  • JS Hutton,J Dudley, et al. (2019).Associations Between Screen-Based Media Use and Brain White Matter Integrity in Preschool-Aged Children.
  • O Tymofiyeva, JP Yuan, et al. (2020).Neural Correlates of Smartphone Dependence in Adolescents.
  • Reed, P., Bircek, N. I., Osborne, L. A., Viganò, C., & Truzoli, R. (2018).Visual social media use moderates the relationship between initial problematic Internet use and later narcissism.
  • A F Ward. (2021).People mistake the internet’s knowledge for their own.