占いや宗教を信じている経営者は多いです。公表していないだけで、実は新興宗教の信者という社長もいます。
そして、占いや宗教のおかげで会社がうまくいっていると、勘違いしていることさえあります。
そんなものを信じなければ、もっと会社が伸びるのにそこには気づかないのです。
こうなってしまう原因は、経営者が孤独だからです。
経営者が孤独になる理由
会社経営にかかるプレッシャーは、大きなものです。他社の社長と悩みを打ち明け合っても、その不安は消えません。
なぜなら、人間は他人の悩みを単純化して考える傾向があるからです。
なので「他の会社の社長は自分ほど辛い立場にはいないだろう」と考えます。
そして、自社の役員や社員、家族は分かってくれないと思い込み、ますます孤独感を募らせるのです。
そこに付け込んでくるのが占い師や、祈祷師といったインチキ野郎どもです。
なぜ経営者は科学的根拠のない占いを信じてしまうのか?
占いを信じる人間はIQ(知能指数)が低いと、スウェーデンのルンド大学の研究で判明しています。
しかし、経営者というのは本来は頭の良い人種です。学校の勉強ができるとかそういったことではなく、本質的な部分を見抜く能力が備わっているということです。
しかし、それでも占い師に騙される人間が多いのはなぜでしょうか?
理由は単純です。
人間は孤独や不安を感じているときに、科学的根拠のない迷信やフェイクニュースを信じてしまう脳ミソを持っているからです。
そして、それによって事態が余計に悪化してしまうのです。これは科学的にも証明されていることです。
統計データよりも科学的根拠のない「人の話」を重視してしまうとき
テキサス大学のトレーシー・フレリング博士らが、意思決定に関する研究について発表された61本の論文を分析しました。(メタアナリシス)
それによると、人間は誰かの話よりも、統計データを信用する傾向にあることが分かりました。
つまり、基本的にはエビデンスのあるものを信じるということです。
しかし、感情的な関与が高まると科学的な統計データよりも、人の話を信用しがちになるということも分かったのです。
感情的な関与が高まる事柄というのは、自分自身に大きな影響が出ること、健康に関すること、脅威となることなどです。
これらの内容について判断するとき、科学的根拠のあるデータよりも、人の話を重視してしまうのです。
なぜ自分のことになると科学的根拠を軽視するのか?
なぜ、自分の健康や脅威に関する事柄の判断では、科学的根拠のない人の話を重視してしまうのでしょうか?
それは、人間がこのような不安を感じたとき、温かさや優しさを求める性質を持っているからです。
世の中が不景気で、自社の業績が落ちている状況を想像すれば分かりやすいです。経営者なら不安で孤独な気持ちなります。
そんなとき、たまたまニュースで、ネット広告を打つことで、利益を伸ばしやすいという科学的なデータを得たとします。
そのとき、占い師が「ネット広告は危険。そもそも景気は変動するものなんだから大丈夫。あなたが心配だからネット広告にお金なんか使わないでね」という話をしたとします。
この場合に、ニュースで得た科学的なデータは、ただの「情報」でしかありません。しかし、占い師の話には「情報」にプラスして「安心させる言葉」や「優しさ」というオマケがついています。
不安なときは、自分を安心させてくれる優しさを欲しているので、オマケつきの占い師の話のほうを受け入れてしまうのです。自分が孤独になっているときほど、このようなバイアスがかかりがちなのです。
それを裏付けるように、先に紹介した研究では、健康や脅威に関する内容でも、それが他人についての事柄であれば、科学的根拠のある統計データの方を重視することが分かっています。
他人事ではあれば、自分は「不安を解消したい」という欲求を持っていないので、客観的に正しい情報を選ぶことができるのです。
「占いが当たった」と錯覚する心理
ここまでの説明で、経営者が占い師を信じてしまう理由は孤独だから、ということが分かったと思います。
しかし、それでも「占いは当たる」と信じてしまう経営者が、ときどきいます。
当たっているのではなく、当たったように錯覚しているだけなのですが、そこにさえ気づけないのです。
選んだを方を実力で正解にしているだけ
経営者のは、常にビジネス上の判断を求められるものです。そして、一度決めたらどんな手を使ってでも、その選択肢を成功させようとします。
正解を選ぶのではなく、選んだ方を正解にしているともいえます。
例えば、プランAとプランBがあるときに、どちらを選ぶか悩むことは多いですが、どちらを選んでも成功させようとするのですから、どちらが正解ということはないのです。
しかし、占いを信じている経営者というのは、その判断を占い師に頼ることがあります。そして成功すると「占いが当たった」と思ってしまいます。
自分の実力でそれを正解にしたということが、分からないのです。仮に違う方を選んでいたとしても、成功させたであろうことに気づかないのです。
なのに失敗したときには「占いが外れたのではなく、あなたの努力が足りなかったから」などと言われて、信じてしまいます。
バーナム効果
今さら説明するまでもないことですが、占いや予言が当たったと勘違いするのは「バーナム効果」という心理現象です。
これは誰にでも当てはまりそうな一般的なことでも、自分だけに当てはまることだと思ってしまう錯覚のことです。
例えば「あなたは楽しいことが好きですが、不安があると心から楽しめないことがありますね?」と言われたら、性格を読まれたと勘違いするような現象です。
それと占いというのは、ハズレたときには思い出しませんが、当たったときには思い出すので、余計に当たっているような気がするのです。
さらに、自分から強引に結び付けてしまいやすい抽象的な内容を伝えるのも、占い師の常套手段です。
「水に気をつけろ」と言われたら、雨に降られても風呂場でこけても当たっていると感じてしまうのです。水曜日に何かあっただけでも「当たった」と言い出します。
占い師に入ってくる情報
占い師が有名人の不倫や逮捕を当てたと騒がれることがありますが、これは当たり前です。
悩みの相談に乗る仕事というのは「誰と誰が愛人関係」だとか「誰々が〇〇してる」といった情報がバンバン入ってくるのです。
それこそ六本木界隈の飲み会で得られる情報や、週刊誌の記者が持っている情報の比ではありません。
また、最近はネットで調べれば経営者の情報など、いくらでも簡単に手に入ります。
自らSNSで発信していればさらに簡単です。テレビで偉そうに性格を言い当てたような顔をしている占い師は、全員これらの手口を使っているのです。
こういった情報がなくとも先に説明したように、抽象的な言い方をしておけば何かしら引っ掛かりますし、当たったときだけ騒いでいることには気づかないのです。
また、占いでそう言われることで、無意識にそちらに向かってしまうこともあります。自己成就的予言という現象です。
占いや宗教を信じ始めたら経営者としても終わる
はっきり言えることですが、社長が占い師や祈祷師、宗教家に傾倒しはじめたらその会社は終わります。
一代で大企業に育て上げた創業者が、宗教を信仰していることもあるので勘違いしがちですが、彼らは圧倒的な実力があったおかげで、インチキと関わっても倒れずに済んだのです。
そんなものを信じていなければ、もっと凄い会社になっていたのです。
占い師や教祖に依存し始めたら、自分で判断しなくなるので、経営者としての直感も鈍るということを忘れてはいけません。
とりあえず、占い師に払っているお金を全額Google広告にでもぶっこんでみたら良いと思います。今までいかに無駄金を使っていたかが分かるはずです。
経営者は教祖になれ!占いと宗教は最強のビジネスモデルだ
どうしても占いや宗教が好きなら、自分で教祖にでもなれば良いと思います。
大昔から廃れずに金儲けができている仕事なのですから、最強のビジネスモデルということです。
私はそういうことで金儲けしている人間を軽蔑しますが…
とはいえ、なぜ人間が占いや宗教に騙されるのかを研究すると、ビジネスに応用できることがたくさんあることに気づきます。
今時の経営理論なんかよりも、よほど金儲けや人心掌握に使えます。
そしてそれに気づくことで、そういったものを信じなくなるので一石二鳥です。
経営者は信者ではなく教祖(カリスマ)になりましょう。
- I Andersson, J Persson, P Kajonius. (2021).Even the stars think that I am superior: Personality, intelligence and belief in astrology.
- TH Freling, Z Yang, R Saini, et al. (2020).When poignant stories outweigh cold hard facts: A meta-analysis of the anecdotal bias.

