コンサルは誰でも自由に名乗ることができます。
国家資格が必要なわけでもありません。特定の実務経験がなければ名乗れないわけでもありません。
昨日まで全く畑違いの業種にいた会社員が、今日から「経営コンサルタントです」と名乗ることもできます。
そのため、怪しい人が非常に多い業界です。大げさな表現ではなく、9割は怪しい人と思って間違いないでしょう。
そして多くの経営者が騙されます。ビジネスの場数を多く踏んでいる経営者が騙されてしまう理由はシンプルです。
不安を抱えているからです。
売上が伸びない、社員が育たない、資金繰りが苦しい、競合に負けている気がする…
こういう不安を抱えているとき、人は冷静な判断力を失います。そこで、もっともらしいことを言われると、簡単に信じてしまうのです。
特にコンサルは、成果が見えにくいサービスです。「戦略」「壁打ち」「伴走」「仕組み化」など、いくらでも曖昧な言葉でごまかせます。
だからこそ、依頼する前に相手を見極めなければなりません。
今回は、無能なコンサルの特徴について説明します。一つでも当てはまっていたら、かなり怪しいと思ったほうが良いです。
1. 抽象論で誤魔化すコンサル
特に年配のコンサルに多いのが、抽象的な話で誤魔化すタイプです。なぜ抽象論に逃げるのかというと、それが一番安全だからです。
抽象的な話は、賢そうに見えますし、間違いを指摘されにくいです。そして、成果が出なくても責任を取らずに済みます。
「本質が大事です」
「理念が浸透していません」
「経営者の在り方が問われています」
「顧客起点で考えましょう」
こういった言葉で、具体的には何もできないことを誤魔化すのです。
抽象論に逃げるコンサルはいくつかのパターンがあります。特に多いのが、壁打ちやコーチングに逃げるタイプ、理念や哲学に逃げるタイプ、そしてビジネス書のような浅い話をするタイプです。
コーチング・壁打ち・魚の釣り方で逃げる
「答えを教えるのではなく、考える力を引き出します」
「壁打ち相手になります」
「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えます」
無能なコンサルほど、こういった言葉に逃げます。
なぜなら、コーチングや壁打ちという形にすれば、自分が答えを持っていないことを隠せるからです。
実務を知らない、具体策を出せない、市場の見立てもできないから「答えを教えるのではなく、引き出すのが仕事です」と言って、誤魔化すのです。
もちろん、質問によって経営者の考えが整理されることはあります。 しかし、質問するだけなら誰でもできます。
「社長はどう思いますか?」
「理想の状態は何ですか?」
「何が課題だと思いますか?」
こうした問いかけだけで終わるなら、コンサルに依頼する意味はありません。
経営者は友達が欲しくてコンサルに依頼しているわけではありません。事業を良くするために依頼しているはずです。
であれば、市場の見立て、競合分析、集客、業務改善など、具体的な施策が必要です。
「魚の釣り方を教える」と言うなら、まず本人が魚を釣れる必要があります。自分では魚を釣れない人ほど、釣り方を教えると言って逃げるので注意しましょう。
ただの壁打ち相手なら、生成AIで十分です。
理念や哲学の話が多い
「会社の哲学を明確にしましょう」
「ミッション・ビジョン・バリューを整えましょう」
こういう話ばかりするコンサルは、怪しいと思ったほうが良いです。
もちろん理念や哲学は大切です。しかし、多くの中小企業が困っているのは、もっと現実的な問題です。
問い合わせが来ない、商談化しない、社員が定着しない、利益率が低い…
こうした問題を放置して、理念の話ばかりしても意味がありません。
理念は、採用・集客・商品設計などに反映されて初めて意味があります。実務に接続できない理念は、ただのポエムです。
ビジネス書に書いてありそうな浅い話をする
無能なコンサルは、ビジネス書に書いてあるような、自己啓発っぽい話をします。
「選択と集中が大事です」
「PDCAを回しましょう」
「経営者の覚悟が大事です」
どれも、それっぽく聞こえます。しかし、経営者に必要なの一般論ではありません。
何を選び、何を捨てるのか、どの顧客を狙うのかといった、具体的な施策を出せないなら、コンサルとして価値はありません。
無能なコンサルほど、ビジネス書の内容が素晴らしいものと、勘違いしています。
しかし、本に書いてある話はあくまで抽象論や精神論です。業種、規模、顧客層、人材、資金力によって、やるべきことは変わります。
本の内容を薄めた話に、高額な報酬を払うくらいなら、自分で読書しましょう。
2. 上から目線で偉そう
無能なコンサルほど、上から目線の偉そうな態度で経営者や社員に接します。
「自分は凄い」という勘違いをしているか、無能さを指摘されないように防御壁を作るためです。
このようなコンサルは、言動やアピールしているポイントですぐに分かります。
社長を叱る、経営者を指導する、先生と呼ばれることに違和感を持たない。こうした振る舞いがあるなら注意が必要です。
社長を叱るコンサルタント
数十年前に「社長を叱るコンサルタント」のようなスタイルで、売りだす手法が流行ったことがあります。
「相手が社長であっても怒鳴りつけます」
「経営者にも厳しく言います」
「あえて耳の痛いことを伝えます」
こういうことを売りにしているコンサルは、たいていこのタイプです。
事実に即した正しい意見を言うことは必要です。しかし、通常のトーンで淡々と伝えれば良いことです。
社長になると叱ってくれる人もいなくなりますから、叱られると新鮮な感じがして、コンサルに心酔してしまうこともあります。
しかし、騙されないように気をつけましょう。叱ることを売りにしているコンサルは、無能さを指摘されないための防御壁を作っているだけです。
「指導」という言葉を使う
コンサルのホームページに、次のような文言が書かれているのを、見たことはないでしょうか?
「指導実績〇〇社以上」
「多くの経営者を指導してきました」
実はこのように、「指導」という表現を使っているコンサルもかなり怪しいです。
コンサルティング会社のサイトや、インタビュー記事を見れば分かりますが、まともな会社で「指導」という言葉を使っているところは1社もありません。
なぜなら、コンサルは経営者を指導する立場ではないからです。戦略を策定したり、事業を改善したり、ハンズオンで施策を実行するのが仕事です。
そもそも、コンサルごときが、経営者を指導することなど出来ません。その業界のことは顧客が最もよく知っているからです。
仮に指導できるとしたら、顧客と全く同じ業界で起業して、大成功を収めた経験のある人だけです。
そうでないのに、「経営指導」などと言えてしまうコンサルは、何も分かっていない無能といえます。
「先生」と呼ばれることに違和感を持てない
ときどき、顧客から「先生」と呼ばれることがあるのですが、強い違和感を持つので、名前で呼んでくれるようにお願いしています。
しかし、世の中にはこう呼ばれることに違和感を持たないコンサルもいます。
ブログを読むとすぐに分かります。
「『先生のおかげで業績が改善しました』と言われました」といったフレーズが、これでもかというくらいに並んでいるのです。
「先生」と呼ばれて、違和感を持たないのは、メタ認知能力(自分を客観的に見る力)が低いということです。
メタ認知能力が高ければ「誰でも名乗れる職業で先生と呼ばれるのは変だな」と気づくことができます。
メタ認知能力が低い人は、自分の間違いにも気づけませんから、コンサルとして致命的です。
3. なんちゃってコンサル
さらに問題なのは、そもそもコンサルですらない人たちです。
コンサルを名乗っているだけで、実態は情報商材屋、セミナー屋、スクール屋、SNSのフォロワーが多いだけの人というケースは非常に多いです。
1人でやっているフリーランスや、これから起業したいと思っている人が、この手のなんちゃってコンサルタントに騙されて、数十万、数百万を騙し取られるケースがよくあります。
情報商材屋
本物のコンサルタントが、本を出版することはあります。
しかし、「成功する経営者だけが知っている売上アップの秘密」のような、情報商材を数千円~数万円で売ることはありません。
なぜなら、どの企業にも共通して役立つ具体的な施策など存在しないことを知っているからです。
また、詐欺師認定されて、まともな企業から相手にされなくなるリスクを考えれば大損であることも分かります。
まともなコンサルが、ウェブサイトに執筆した記事を有料会員限定にすることもあります。それでも1記事あたりにすれば数百円です。
そもそも、超一流の起業家やコンサルタントの書いた本が2,000円前後で買えるのに、情報商材屋の書いたネット情報の寄せ集めが、それよりも高いのはおかしなことです。
「生徒さん」「コンサル生」
なんちゃってコンサルが使いがちな特有の言葉というものが、いくつかあります。
その中でも分かりやすいのが「生徒さん」「コンサル生」という言葉です。
これらの言葉は、自己流で考えた何の再現性もない手法を教える怪しいセミナーやスクールをやっている、自称コンサルしか使わない言葉です。
まともなコンサルティング会社でも、企業研修や、セミナーを提供しています。しかし、それを受講した顧客に対し、「生徒さん」「コンサル生」などという頭の悪そうな響きの言葉で呼ぶことはありません。
これらの言葉を使っている人たちは、怪しいと思ったほうが良いです。
SNSでバズっただけの人
InstagramやX、TikTokなどのフォロワー数が多い人の中には、「その手法をコンサルします」という人もいます。
しかし、この手のコンサルを依頼したことのある人なら分かると思いますが、本当に集客につなげられる人は僅かしかいません。
なぜなら、フォロワー数を増やしたり、投稿をバズらせることができたとしても、ターゲティングができていなければ、自社の潜在顧客に届かないからです。
それでも、フォロワーやイイネの数字を増やせる人はまだマシです。この手のなんちゃってコンサルで、本当に数字を挙げてくれる人は滅多にいません。
なぜなら、SNSのアルゴリズムの仕様上、偶然バズってしまうアカウントというのは数%は存在するからです。
それを実力と勘違いしてしまった人が、なんちゃってコンサルになるのです。
怪しいコンサルに依頼して業績アップ?
ここまで、怪しいコンサルの見極め方について説明してきました。
実は、このような怪しいコンサルに依頼した場合でも、一時的に業績が良くなったように見えることがあります。
社員の行動が変わったり、売上が増えたりするのです。こうなると「コンサルを入れてよかった」と思うかもしれません。
しかし、これは、外部の人間が入ったことで、社内の意識が一時的に変わっただけなのです。
ホーソン実験(※1)を連想すると分かりやすいです。人は「見られている」「注目されている」と感じると、行動が変わるのです。
コンサルが入ったことで、経営者が課題に向き合う時間を取る、現場が改善案を出すようになります。
今まで何もしていなかった会社は、これだけでも業績が改善することがあるのです。
しかし、それは一時的なものであり、継続するものではありません。大事なのは、コンサルがいなくなった後もその効果が続くかどうかです。
まともなコンサルは、効果が永続する施策を実行します。
コンサルを選ぶときは、会社の長期的な成長を見越した戦略を実行できるか?という視点で評価することも重要です。
※1 ホーソン実験
工場の照明を明るくすると生産性が高まるか?を調べた実験。結果、明るくしても暗くしても生産性が高まった。
照明の明るさに関係なく、従業員が「観察されている」と意識して、一時的に真面目になったことが原因。

