コンサルティング業界の市場規模は年々、増加しています。中小企業やスタートアップ、個人事業主でも依頼しているところが増えています。
とはいえ、予算に制約があることもあります。
そんなときに検討するのが、フリーランスの経営コンサルタントです。
しかし、仲介サイトを見ても分かる通り、そのほとんどが胡散臭いのも事実で、どう選べば良いのか分からないという経営者もいるかと思います。
そこで、今回はフリーランスの経営コンサルタントの選び方について、説明したいと思います。
と言いたいところですが、実は私も法人化していませんので、フリーのコンサルタントということになります。
この立場で、選び方を説明しても「自分に有利となる基準で書いてるだろ」と思われてしまうかもしれません。
そんな疑いを持たれないようにするため、第三者が行った調査をもとに説明していきたいと思います。
経営コンサルタントが成果を上げるための5つの要因
経営コンサルタントの実力や成果について調べたデータというのは少ないです。
ビジネス誌の特集などでは、たまにやっていたりしますが、ただのアンケートだったりします。
そんな中でも、コンサルタントとクライアントの両方を直接的に調査した研究があります。
これはリスボン大学のチームが行ったもので、データ分析だけでなく、複数のコンサルタントと中小企業経営者に対するインタビューも行っています。
この研究によると、コンサルタントが成果を上げる要因は、主にこの5つということが分かっています。
- コンサルタントとしての能力と経験
- クライアントを理解する能力
- 専門職業人としての姿勢
- 信頼性・信用
- プロセス、価値観、目標の透明性
私の個人的な意見としても、これらの要因はコンサルティングプロジェクトの成否に大きく影響するものだといえます。
つまり、フリーランスの経営コンサルタントに依頼するときは、上記を念頭に、以下のチェックポイントを確認すれば良いということです。
経営コンサルタントを選ぶときのチェックポイント
1. 能力と経験が自社の課題に合っているか?
コンサルタントを選ぶときにまず見るべきなのは、自社が抱えている課題を解決する能力があるかどうかです。
経営コンサルティングといっても、戦略立案、売上改善、組織改革、業務効率化、事業承継、新規事業開発など、扱うテーマは大きく異なります。
営業支援に強い人が、財務改善や人事制度づくりにも強いとは限りません。
特に中小企業では、人材、資金、時間に制約があります。そのため、理想論ではなく、限られた条件の中で成果につながる提案ができるかを見極めなければなりません。
成功事例だけでなく、失敗や難航した経験についても具体的に話せるコンサルタントは、現実を理解している可能性が高いです。
逆に、抽象的な実績や華やかな肩書きばかりで、支援内容を具体的に説明できない場合は注意が必要です。
2. クライアントを理解する力があるか?
良いコンサルタントは、最初から答えを決めつけません。まず、会社の状況や悩みを丁寧に聞こうとします。
コンサルティングでよくある失敗は、一般論としては正しい提案が、自社には合わないことです。
中小企業では、社員数、資金力、意思決定のスピード、社長の関与度、現場の協力体制によって、実行できる施策が大きく変わります。
そのため、自社を理解しないまま提案される改善策は、実行できずに終わります。
最初の面談で、話をどれだけ聞いてくれるかを見てください。
売上や利益だけでなく、社員の様子、社内の問題、経営者が大切にしていることまで聞いてくるコンサルタントは、自社に合った提案を出せる可能性が高いといえます。
3. 仕事の進め方が誠実で、責任範囲が明確か
提案内容だけでなく、仕事の進め方も確認する必要があります。どのような姿勢で臨むかは、プロジェクトの成否に大きく影響します。
具体的には、調査、分析、提案、実行支援、振り返りまでの流れが明確かどうかを見ます。
こうした点があいまいなまま始めると、あとでトラブルになりやすくなります。
たとえば、コンサルタントは資料を作るだけなのか、実行まで一緒に手伝ってくれるのか、会議は月に何回あるのか、途中で問題が出たとき、どう対応するのか。
事前に確認しておくことで、「思っていた支援と違った」という失敗を防げます。
優秀なコンサルタントは、できることだけでなく、できないことも説明します。
「必ず売上が上がります」と簡単に言う人よりも、「成果を出すには、会社側にもこの準備が必要です」と正直に話す人の方が安心です。
4. 信頼して話せるか?守秘義務に厳格か?
コンサルティングでは、会社の大事な情報を話すことになります。
売上や利益の状況、社員の不満、社内の人間関係、経営者の悩みなど、外には言いにくい内容を共有することもあります。
そのため、コンサルタントには信頼性が不可欠です。
もし信頼できない相手なら、本当の問題を話せません。そうなると、コンサルタントも正しく状況を理解できず、表面的なアドバイスしかできなくなります。
信頼できるかどうかは、話し方や人柄だけで判断するのではなく、行動で確認する必要があります。
守秘義務をきちんと説明してくれるか、他社の内部事情を軽々しく話さないか、契約前でも誠実に対応してくれるかです。
他社の秘密をペラペラ話す人は、自社の情報も同じように扱います。人柄だけでなく、情報の扱い方もよく見ておきましょう。
5. 目的・進め方・判断基準が透明か
コンサルティングでは、その取り組みをする目的は何か、どんな順番で進めるのかを、最初に共有しておかなければ、成功は遠のきます。
たとえば、「売上を伸ばします」と言われても、それだけでは具体性がありません。
新しいお客様を増やすのか、既存のお客様への提案を強化するのか、商品の価格を見直すのか、広告やホームページを改善するのかによって、必要な対策はまったく違います。
また、「なぜその方法が必要なのか」を説明できるかも大切です。
流行っている方法だから勧めるのではなく、自社の今の課題に合っている理由を説明してくれる相手を選びましょう。
コンサルティングでは社長だけでなく、社員の協力も必要になります。進め方が分かりにくいと、社員が「何をさせられるのか分からない」と不安になり、協力しにくくなります。
反対に、目的や進め方がはっきりしていれば、社内でも説明しやすくなり、協力を得やすくなります。
選ぶべきは「相談相手」ではなく「変化を起こす専門家」
話しやすかったり、提案が魅力的なコンサルタントは安心感を与えてくれるかもしれません。しかし、そのような相手に依頼しても会社が変わることはありません。
本当に必要なのは、会社の問題をあいまいにせず、原因をはっきりさせてくれるコンサルタントです。
たとえば、売上が伸びない原因が「営業力不足」だと思っていても、実際には商品そのものに問題があるかもしれません。
社員のやる気がないように見えても、実は仕事内容や評価の仕組みに原因があるかもしれません。
良いコンサルタントは、表面的な悩みをそのまま受け取るのではなく、「本当の原因はどこにあるのか」を見つけようとします。
また、必要な場面で耳の痛いことを言える相手かどうかも重要です。
社内では言いにくいことや、経営者自身が避けてきた課題に踏み込めなければ、大きな改善は起きません。
ただし、厳しいだけでは不十分です。会社を良くするために、何を優先し、何をやめ、どこから実行すべきかを具体的に示せることが必要です。
選ぶべきなのは、安心できるだけの相談相手ではありません。自社の問題を見抜き、必要な判断を促し、成果につながる行動を明確にし、変化を起こしてくれる人です。
コンサルタント選びは、相手を見極める作業であると同時に、自社が本気で変わる準備ができているかを確かめる作業でもあります。
- RL Costa, AL Dias, et al. (2020).The Basis for a Constructive Relationship Between Management Consultants and Clients (SMEs).

